温室管理方法

-冬編-

 

 

 冬になると熱帯植物を保護するために温室が必要となってきます。理想は数坪の床面積を有する本格的な大型温室があればいいのですが、あまりスペースが取れないという事情も多い事だと思います。私の場合もそうでして、庭が狭く、温室で庭を占めるわけにはいかないので軒下用小型温室を使用しています。ここでは、蘭、食虫植物の温室管理方法を紹介していこうと思います。あくまで私の管理方法ですので参考程度でお願いします。

冬の戸外温度(データはアメダス大津の記録を参照)を記しておきます。冬の温度でヒーターの消費電力を大きいものにするかどうかを判断しなければなりません。

滋賀県大津市: 最低気温;-3.6℃、平均気温;3.5℃(2004年1月)

 

サイズ
縦68cm×横130cm×高さ180cmの軒下用小型温室です。

置き場所
南向きの日当たりの良いところに置いてます。夏は10〜17時、冬は9〜15時の間、日照時間が確保されています。

窓部材料
温室の窓部は半強化ガラスです。

暖房機器
450Wのプレートヒーターを使用しています。さらに2004年秋には200Wの小型パネルヒーターを導入して厳寒期の温度低下に備えます。

 


200Wヒータ。補助的な加温をする。

 

サーモスタット
自分の設定したい温度に設定します。サーモスタットがなければヒーターでの温度管理が出来なくなるので必ず付けるべきです。

保温材料
温室がガラス製では保温効果薄です。保温カバーを被せる事を強く薦めます。保温カバーを一枚するだけで5℃程度温度を確保できます。私の場合、2枚保温カバーを被せて使用します。

加湿器
超音波加湿器をしようしています。昔はスチーム式加湿器をしようしていたのですが、吹き出し口に近いと熱すぎて植物を近くに置けないので近頃は超音波加湿器のみ使用しています。タイマーにより夜15分程度加湿させ、それを3時間ごとに繰り返します。清潔さを保たなければレジオネラ菌などの増殖の恐れがあり気をつけなければなりません。

 


超音波加湿器。安全面より、今では手に入れるのが難しくなってきた。

 


私の場合、小型温室なので棚はオプションの金属製棚(錆びないようにカバーあり)を使用しています。高さは3段に分けています。

換気扇
日中も家に居られれば温室の窓の開け閉めができますが、昼間は外出している事がほとんどの方は必要になってきます。換気扇で温室内の異常な温度上昇を防ぎます。

 


換気扇。大分錆びてきました。(^^ゞ

電源
防水加工をされたタップ等にしないと漏電の恐れあり。

温度計
最高最低温度計を必ず付けて下さい。ヒーターに異常が起きた時の目安となります。また温室がどのような温度になったか一目瞭然です。

湿度計
これも重要です。冬場ヒーターを使用すると空気が乾燥しがちです。特に湿度を必要とするネペンテスや着生蘭のために適正な湿度が保たれているかの目安となります。

内気扇
温室内に空気の流れを作ってやる事で植物の健全な生育が望めます。また通風を良くすれば病害虫を防げます。

遮光ネット
50%カットのビニール製遮光ネットを使用しています。市松模様がお勧めです。

 

 具体的な冬の管理方法として、天気に応じて管理方法も変わってきます。例えば、晴れの天気の時の場合を紹介しましょう。
 晴れの場合、朝9時ぐらいまでに温室の保温カーテンを開けます。こうすることで日中、陽が差しても温室内が過度に蒸れなくなります。温室のガラスは冷たい風が進入しないように閉め切ったままです。このとき中の植物は生育しているので水が乾けば水を与え、時々薄い液肥も与えます。夕方また保温カーテンを閉めるのがベストですが、私は学生ですので夜9時ごろに帰ることが多くその時に保温カーテンを閉めています。そのとき夜間に加湿する際の加湿器の水量もチェックします。不足していればもちろん水を補充します。これが晴れの天気の場の管理方法です。
 雨・雪の場合は前述の管理方法と変わるのが、日中も保温カーテンを閉め切ったままにし、温室内の保温に努める事です。なお、温室は寒風にさらされると温室内の温度が低下しやすいので寒波の際は普段より多めに保温カーテンや古毛布をかぶせたりして備えます。

温室内の植物は加温されているので乾きやすく水を土の表面が乾いたら与え、わずかに生育している株があれば薄めの液肥も与えてやります。なお固形肥料はカビが生えやすいので避けます。
 温室内の温度としては、以上の管理をして最低温度が約15〜16℃、最高気温が晴れの日は約30℃、雨・雪の日は約20℃となります。一日の温度変化(日較差)がおおよそ15℃以内に収める事が重要となります。温度変化が大きすぎると植物が調子を崩しやすくなるので注意します。

 

-付記-

 我が家の温室用品はざっとこんなところです。温室の市販品は大変高価ですので自作で温室を製作される方もおられるようです。ですが、配電などには気を配りましょう。もっとも、温室用品を揃えれば栽培が上手くいくというわけでもなく、やはり植物の様子を見ながら最適な環境を作る事が重要となります。
 温室を購入したてのときは温度管理がとても難しかったことを覚えています。購入した時はまだ遮光ネットをそろえていなかったのですが、その日の日中は晴れていて冬でも温室の温度が40度まで上昇する失敗をした記憶があります。温室の特性を知るのにはじめはしばらく時間がかかるかもしれません。
 また温室の目的で大分管理方法も変わってくると思います。というのは,、私の場合は冬に熱帯植物を生育障害が起こらないようにと購入したのであり、その場合ですと、温室の最低温度も15℃になるように設定しています。一方、冬でも熱帯植物を生育させながら越そうとすれば、やはり最低温度は20℃以上は欲しくなってくるでしょう。各個人の目的に応じて管理方法を変えていけば良いと思います。
 今回は温室管理方法-冬編-を紹介しましたが、いずれ春・秋編、夏編も紹介できればと思います。それまでお待ちくださいね。
(^^ゞ。

2004.12.23

 

 

 

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