我が家のモウセンゴケ(和名)栽培方法

 

モウセンゴケ(Drosera rotundifolia)は日本国内の食虫植物の自生地で一番見かける品種ではないかと思います。本種の栽培は自生地でよく見かける割には難しいという声を聞きます。主に夏越しが難しいというのが理由と思いますが、あまり栽培方法について詳しく紹介しているサイトも少ないのが現状です。我が家ではモウセンゴケを何年も栽培、増殖しているので一定程度の栽培ノウハウが蓄積出来てきたと思っています。我が家での栽培方法について紹介してみます。

@モウセンゴケを入手する
 日本食虫植物愛好会(JCPS)、山田食虫植物農園で入手可能です。時々山野草の通信販売のサイトでも見かけます。自生地で採集する事も可能ですが、自生地が保護されている場所なのか確認する必要があります。もちろん法律に違反してまで採集するのは論外です。レッドデータブックに記載されている都道府県でも採集は慎んだ方が賢明です。地域によっては条例で採集を規制している所もありますので、それぞれの場所で採集ルールを確認しましょう。


A植え付け
入手したら直ちに定植します。用土は水苔が無難です。水苔が無い場合は微粒の鹿沼土も可。植物にダメージが少ないのは冬芽期ですが、生育期に株をほじくるように植え替えても特に生育が悪くなる事はないので、あまり気にし過ぎないでも良いようです。さすがに真夏は避けた方が良いでしょう。入手した時は黒い根が2〜3センチほど伸びていると思いますが、なるべく切らずに植えつけます。誤って根を失っても株をやや深めに植えつけると自然に発根してくるので根が無くなっても捨てないようにしましょう。



春、一番の観賞時期のモウセンゴケ。

B水やり
年間通して腰水栽培します。比較的腰水は深めでも大丈夫で、我が家では雨後にひたひたになっている事もあります。


C置き場所
一年中、戸外です。2〜3時間日が当たる場所に置いています。一日中、日が当たる場所は春でも少し株が疲れてくるようです。


D増殖、夏越し
株が育ってくれば、6月ごろ開花します。花径が5ミリに届くかどうかの小さな白い花を咲かせます。花だけ見ていると山野草感たっぷりです。モウセンゴケは種子で更新するのが基本になります。葉挿しも出来るようですが試したことがありません。7月ごろ花茎には種子を入れた鞘がいくつも付いていますので、種がこぼれない内に収穫します。種子は冬に播種するまで保管します。播種は1月頃、水苔にばら蒔きます。
夏場の管理ですが、基本的に置き場所は春と変えていません。株が充実していれば株姿が小さくなりますが、じっと夏の暑さに耐えます。都心部の異常に高い夜温が続くと厳しいかも知れません。お盆過ぎ、夜温が下がり始めたら再び粘液を付けた捕虫葉を広げ始めます。ただし春よりは小ぶりな葉となります。


アントシアニンフリータイプの変種は見た目が涼しげ。



E植え替え
モウセンゴケの維持の最大のコツは植え替えです。植え替えが?って思われるかもしれませんが、モウセンゴケは多年草で毎年同じ株が成長していきます。すると株は小さいとは言え、背丈が少しずつ伸びてきます。古い葉が重なって背丈が伸びたままというのを嫌う傾向があるので、出来れば毎年植え替えてやります。少なくとも2年に1回は必ず植え替えます。植え替えは冬に行っていますが調子が悪ければ春でもOKです。冬は冬芽を水苔から取り出します。小さいので見失わないよう注意。新しい水苔に冬芽を少し深めに植えつけます。完全に埋めるのは良くないですが、やや冬芽が見える程度に深めに植えつけています。そうすると寒風にもあたらず冬芽が傷みません。こうして植え替えた株は次の生育シーズンは必ずと言っていいほど生育が良くなります。植え替えをする事で株の寿命も延びてきます。現在我が家では4年ほど生育しているモウセンゴケがありますが、毎年植え替えています。




F自生地の環境に近づけてみる
モウセンゴケは小さな鉢で単独で栽培するよりかやや大きめの鉢で寄せ植えで栽培する方が鉢内の環境が安定して成績が良い場合があります。自生地の環境再現を意識しています。我が家では盆栽鉢でモウセンゴケやムラサキミミカキグサ、サギソウ等を寄せ植えしています。用土は鹿沼土微粒がベースになっていますが、長年栽培しているので表面には所々厚くヌラが溜まっています。モウセンゴケはこのヌラが好きなようで、ヌラがある所を中心に生育しています。種子はあえて採取せず、種子をこぼしたままにして、株の更新を図っています。手を加えず株は自然に世代交代していくようです。管理は1年中、水を切らさないようにしているだけです。それでもモウセンゴケはずっと旺盛に生育しています。


盆栽鉢だと環境が安定し、自生地のミニチュアのように見える。

 

モウセンゴケは栽培場の環境によって栽培のしやすさがだいぶ変ってくると思います。東京に住んでいた時は夏の暑さで枯死してしまいました。ベランダの室外機の排熱で夜間でも30℃を超えていたので一たまりもありませんでした。そういった場所でなければ、モウセンゴケは夏越しのチャンスはあると思います。ある意味駄物扱いされているモウセンゴケですが、アントシアニンフリータイプの変種がある等魅力は尽きません。。

 

 

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2016.5.2 write