食虫植物と農薬

 

 これまでの食虫植物の栽培で農薬が必要だと思ったことは二度ありました。サラセニアがスリップス(アザミウマ)で被害を受けた時、ハエトリソウが炭そ病(?)のような黒い斑点をまとって枯死した時です。サラセニアがスリップスに吸汁されると、葉が変形し生育障害を起こします。寒い冬に植え替えたのに・・・、と落胆しました。それ以外は幸い病気や害虫で大きな被害が出たことがありません。病気や害虫の被害を大きくしないコツは栽培場をこまめに見回る事です。それでも病害虫を完全に無くすのは難しいので、農薬を使う事になります。私が使う農薬は一般的にホームセンターの園芸コーナーで販売されている「普通物」と呼ばれる農薬です。農薬には「劇物」指定されているものもありますが、私の近所のホームセンターで「劇物」指定の農薬は販売中止となりました。
 食虫植物は農薬に弱いイメージはありますが、適切な濃度で散布すれば薬害が出る事はほとんどないと思います。実際私が経験した薬害は、腰水のボウフラを殺すために農薬を投与しましたが、腰水の容量が分からなかったので適当に農薬の原液を投入しました。すると腰水に浸していたサラセニアは傷んでしまった経験がありますが、枯死する事はありませんでした。本来の使い方と異なる使い方だったので、反省しましたが、適切に投与すれば問題ありません。(ここでは一例として紹介します、実際に薬害が出るかどうかは様々な条件もあると思います、万一枯死した場合でも責任は負えません。)

農薬散布のコツ
殺菌剤でも殺虫剤でもそうですが、同じ系統の薬剤を連続して使う事はしてはいけません。耐性をもった病原菌や害虫が残ると再度散布しても効かず、耐性を持った病原菌や害虫が増えてしまいます。ローテーション散布を心掛けます。私の場合は2〜3種類を使用するので、ローテーションと呼べないかも知れませんが、1種類だけよりはマシでしょう。農薬はたくさん種類があってどれを選べばいいか選定が難しいですが、以下のものを使用しています。ホームセンターの園芸コーナーには薬剤がたくさん並んでいますが、ぜひ系統をチェックしてから購入して下さい(ラベルに系統が書かれていない事が多いので、店内でスマホで調べてから買うなど)。
他に意識しているのは、農薬に浸透性があるかどうか。基本、農薬は予防で使用するが理想なので、私は浸透性の農薬を使用しています。また、使用回数を減らすために持続性がある農薬を選ぶようにしています。

ナメクジはここ2〜3年、栽培場から完全に居なくなってしまったので、ナメクジ用の農薬は一切使用していません。ナメクジが根絶された原因はよく分かりません・・・。

我が家で出た病気
・炭そ病(?)
 ハエトリソウの草体に黒い斑点が出現し、弱りました。最後は枯死しました。発病した時は東京在住で栽培場を離れていたため、適切な薬剤散布が出来ませんでした。

・うどんこ病
 ミミカキグサ類、フクロユキノシタで発生が多い。葉面が白い粉を吹いたときは要注意。

我が家で出た害虫
・アブラムシ
 サラセニアの新芽、モウセンゴケの草体に付きます。

・スリップス(アザミウマ)
 主にサラセニアの新芽に被害が出ます。新芽はよじれ、葉が正常に展開しません。害虫はかなり小さく、目で追うのは困難・・・。

・カイガラムシ
 サラセニアの根に付く事があります。植え替え時、流水で落としています。特に薬剤対策はしていません。

・ヨトウムシ、イモムシ
 サラセニアの新芽を食い尽くされると大きな被害が出ます。サラセニアが綺麗に葉を広げても葉をかじられる事があります。夜間に活動しています。

・ハダニ
 観葉植物で出たことがあります。食虫植物では今のところ、経験なし。

・ナメクジ
 ムシトリスミレ等のやわらかい新芽を食べます。他、一度だけドロソフィルムの発芽苗を食べられたことがありました。

 

以下は、これまで使ったことがある農薬を紹介します。

殺菌剤
現在、使用している薬剤は◎印付

農薬名

性質

有効成分

系統

備考

GFベンレート水和剤◎ 予防・治療 ベノミル ベンゾイミダゾール系 水で粉末を溶いて散布する。水1リットルで使用しやすいようパックされています。
サンケイオーソサイド水和剤80◎ 予防 キャプタン 有機塩素系 水で粉末を溶いて散布する。水1リットルで使用しやすい計量スプーン付。
STダコニール1000 予防 TPN 有機塩素系 水で乳剤を溶いて散布する。ピペットがあると便利です。
ベニカXファインスプレー 予防 メパニピリム アニリノピリジン系 そのまま散布する。

 

殺虫剤
現在、使用している薬剤は◎印付

農薬名

性質

有効成分

系統

備考

GFオルトラン水和剤◎ 持続性 アセフェート 有機リン系 水で粉末を溶いて散布する。水1リットルで使用しやすいようパックされています。
ベニカ水溶剤◎ 持続性 クロチアニジン ネオニコチノイド系 水で粉末を溶いて散布する。水1リットルで使用しやすいようパックされています。
ベニカベジフル乳剤◎ 速効性・持続性 ペルメトリン ピレスロイド系 水で乳剤を溶いて散布する。ピペットがあると便利です。
ベニカXファインスプレー 速効性・持続性 クロチアニジン、フェンプロパトリン ネオニコチノイド系 そのまま散布する。
パイベニカVスプレー 速効性 ピレトリン ピレスロイド系 そのまま散布する。
GFオルトラン粒剤◎ 持続性 アセフェート 有機リン系 薬剤を株元にばら蒔く。投与量は適当になりがち。少量の株の場合、便利。
ナメトックス --- メタアルデヒド メタアルデヒド系 水がかからないように薬剤を置く。販売終了。


 

 

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