食虫植物栽培のあり方考察
自分一人で栽培していると、物の見方が一辺倒になり、栽培のコツに気付かない事があると思います。私はこの夏(2005年夏)に食虫植物のプロの方とお話して、ネペンテスをはじめとした食虫植物栽培のコツ、知恵について得る機会がありました。ここではそのコツ、知恵について自分なりの園芸の世界から見た食虫植物の栽培考察としてまとめてみました。筆者が園芸歴9年、その内食虫植物栽培歴3〜4年の中で感じた、独断と偏見に基づいている箇所もあり、読んでみて不愉快に思われるかもしれませんが、ご了承していただいた上で読んで見てください。
1.自分の栽培環境に合わせる
これは食虫植物に限らず、園芸家のみなさんに当てはまるものだと思います。自分の技量、栽培施設のレベルに合わせて植物の種類を選定すべきです。当たり前の事ですが、これが結構出来ていないのが現状だと思います。
近年、インターネットの普及により世界の食虫植物ナーセリーから珍種を輸入することが可能となりました。ネペンテスも例外ではなく、様々な珍しい原種が導入されています。そこでまず私が思うのは、、、栽培経験がほとんど無いのに、珍種のみ狙いを定めている人はいませんか?ネペンテスでは主に高山性がそれに該当するかも知れません。私がいつしかのJCPSの記事を読んで驚いたのが、「珍種、高山性のネペンテスしか相手にしない人すらいる。」という所です。まあいろいろ食虫植物に関するホームページ、掲示板を観て回ってみると、薄々そうなんじゃないのかな〜?と思ってたのですが、まさにその通りだった事!!「珍種を持っていることが偉い事」、、という錯覚に陥るのは初心者に多く観られる現象です。事実私もそうでした・・・(食虫植物ではなかったですが)。また初心者に見られる現象として、何でも手に入れたがる!!、これも初めての方は必ず経験する感覚でしょう。。これも私も経験済みです(補足ですが、私の場合、もっとひどかったです。珍種を入手したいと思い注文をしたとします。数日後珍種が到着すると急激にその珍種の興味度が下がるのです。入手するまではすごく欲しかったのが、入手後冷めてしまうというひどい経験をしたことがあります)。
(^^;。初心者の方はこのような感情に流され、珍種、難物に手を染めますが、知識も技術も栽培施設も無いので当然枯れていく運命の植物は数知れず、、じゃないですか?食虫植物に限らず、園芸を趣味とするならば、種類を集めるのを目的にするのではなく、充実した株、観賞価値が高い株をつくり、それを観て自分の満足感を得る、他の人に観てもらいたい、というのが目標ではないでしょうか。収集するだけなら植物でなく物品で十分です。
他人の栽培価値観は人それぞれなので、干渉する気は全くありませんが、植物栽培の上達を望む方は、まずは強健種、普及種から技術を磨くのが一番の上達の近道であると思います。初心者のうちに珍種、難物に挑み、枯れてしまった時、「やっぱりもうやめた〜」とならない事を祈ります。枯れてしまう植物が余りにもかわいそう過ぎます。
2.自分で調べましょう
これもいろいろな食虫植物のサイト、掲示板、当サイトを通じて寄せられる質問メールを見てみると感じる事です。自分でほとんど調べず、何かと「教えてください」を連発する方・・・これはインターネットの"ネチケット"の一つにも含まれていると思いますが、まずは自分で調べましょう。食虫植物の栽培をする上では食虫植物に関する知識だけで栽培をするのは難しいと思います。やはり他の植物仲間の栽培にもヒントが沢山詰まっています。私の場合、園芸を始めたのが中学2年生のとき、いまから9,10年前になります。そのとき私は食虫植物ではなく、専ら観葉植物、熱帯花木に興味を持っていて栽培をしていました。その後、花壇植物、洋蘭、山野草栽培にも手を染め、ついに食虫植物栽培に辿り着きました。中学2年生の時に入手した観葉植物などは自分の人生の3分の1以上一緒に過ごしているので、捨てる事なんてできません。。。。と、話が脱線しましたが、要するに食虫植物のサイト、書籍だけに頼らないで、という事です。
もっとひどいと思うのは、園芸書籍を読めば必ず出てくる事項について、普通に質問を掲示板等でされている事です。園芸の世界としていうならば稚拙な質問。「本当にそんな事も知らずに、この人は難物に挑戦するつもりなのか?」と思ってしまうこともしばしば・・・難物を栽培したいのなら、やはり園芸の基礎知識は必要です。
自分で調べてそれを活用するということは自分の武器になると思いますので、まずは聞くばっかりではなく自分で調べる習慣をつけましょう。特に学生さん、、はね。。
3.長く育てる
植物栽培はいろいろな楽しみ方があると思います。小苗から入手して年月をかけて立派な親株に仕立て上げる、また親株を購入してすぐに鑑賞を楽しむなど、入手の方法によってだいぶ楽しみ方が変わってくると思います。私の場合、それぞれ一長一短があり、どちらも薦めることが出来ます。まず、前者の小苗から育てる、についてですが、小苗から育てているとある程度栽培人のクセになれた株が出来ると思います。同じ種類でもだいぶ変わってくると思います(特に山野草ではその傾向が強いかも??)。そして親株に成長していった時の感動は一塩です。
次に後者の親株をいきなり入手する、ですが、これは初心者には薦めやすい入手方法であると思います。ただし普及種の親株入手、ということですよ。
(^^;。技術が無ければ珍種の親株を入手しても数ヶ月で消失するのは見えています。普及種の親株であれば、相当間違った管理をしなければ絶える事はないと思います。それでも油断はできませんが。。そして、入手した株は長く栽培してください。するとその株には愛着が湧き、余計かわいくなります。世話の放任がなくなります。
4. 悔やむ人、悔やまない人
最後に
近年、食虫植物を楽しむ人間の数は増えていっているとおもいます。それはやはりインターネットの普及、食虫植物の輸入・入手のしやすさが大きいと思います。ですがそれに合わせて初心者の方の数も増えていることも事実だろうと思います。
私の独断として、断っておきますが、園芸の世界に入るとき、いきなり食虫植物の栽培から入るのは非常に覚悟がいると思います。なぜなら他の植物とは比べ物にならないぐらい、"変わり者"が多いからです。その"変わり者"をうまく扱うのには予備知識、最低限の栽培技術は必要であると思います。なので私が薦める事は、、食虫植物だけ栽培するのではなく、いろいろな植物を栽培してみてください!という事です。普通の庭木、草花栽培でもいいと思います。病害虫対策、植替え知識など、いろいろ吸収できるものは多いのです!!
あと、自分の栽培適量を把握しましょう。栽培する株数が多すぎると管理が行き届かなくなるでしょう。。
某団体から発行されている書籍である方の記事、「当たり前の食虫植物の種類を当たり前に育てたい」という箇所に非常に感銘を受けました。すごく同意できる事であります。私は珍種を育てるな、とはこれっぽっちも思っていません。ただ、それを育てられる技術、覚悟を持って取り組んで欲しいと思います。駄目で元々というのは、食虫植物栽培ではあまり好きではありません(学問は別ですが)。
(^^;ゞ。
えー、ここまで偉そうな事を書き上げてしまいました。ちょっと辛口になってしまった部分もあるかと思います。不愉快になられた方も居られるかも知れません。ですが、同じ食虫植物の趣味家として思ってみたことを書いてみた次第です。
私の園芸歴は9〜10年とまずまずだと思いますが、食虫植物に関したら本格的に栽培したのはまだまだ3,4年というところでヒヨッコです。いずれはみなさんにあっと言われる株を栽る栽培家を目指します。。