ネペンテスの植替え・挿し木
我が家ではネペンテスを水ゴケ植えにしています。水切れしにくいこと、水ゴケ自体に微量成分を含み、適度な酸性を保ちネペンテス栽培にはもってこいだからです。しかし、水ゴケは長期の用土として維持する事は難しく、2〜3年に一度は植え替えをしないと根腐れを起こす恐れがあります。
では、今回我が家で行ったネペンテスの植え替えの様子を紹介してみます(^^;
2005.6.18
前回からの植替えから3年が経ち、株も荒れてきた
ネペンテス.ラフレシアナ「ニベア」マルディー産
植替え時期は6月にしました。理由はネペンテス(この場合は低地種)が熱帯原産で6月がちょうど梅雨でジメジメしており、植替え後の活着が良いのではないかと考えたからです。植え替えは上写真のネペンテス.ラフレシアナ「ニベア」マルディー産を対象としました。入手先は一正園ですが、入手してから3年が経ち、かなり株姿が荒れてきました。仕立て直しを兼ねて植え替えました。株の長さはおよそ1mぐらいです。
古くなった主茎を切り落とす
まず、荒れている原因の主茎を切り落とします。主茎を切る事で株元の芽の伸長がさらに促されます。切った主茎はもったいないので挿し穂としました。
挿し穂は水上げを1時間ほどします。これで挿し穂に十分水が行き渡ります。
植替え用の鉢は6号プラ鉢を用意しました。現在まで植わっていたのが5号吊り鉢用プラ鉢でしたので1号鉢増ししました。植替え用土は引き続き水ゴケを使用しました。
左が5号吊り鉢、右が6号プラ鉢
植替えするとき、まず古い鉢から株を出します。このとき根鉢を傷めない様に細心の注意を払います。ネペンテスは根をいじられるのが極端に嫌がり、下手をすれば枯死、もしくは株がいじけて数年はまともな生育をしてくれないそうです。私は通常素焼き鉢植えの株は鉢を割って取り出すのですが、今回はプラ鉢、鉢の周囲を手でにぎり、鉢と植え込み材料に隙間が出来るようにし、株を取り出しました。取り出した根鉢はそのままにします。普通の草花ですと、根をほぐしたくなりますが、ここでは厳禁です。
良好な生育を示した根鉢。この根を傷めない様注意する。
次に新しい鉢に水ゴケを入れ、根鉢周りにも新鮮な水ゴケを覆うようにして新しい鉢に収めます。水ゴケの植え込む固さは固いほうがいいということもありますが、私の場合は洋蘭を植え込むぐらいの普通の固さです。
植え換え後は株がデリケートであるのは他の植物と変わらずで、株を通常温室の1番上の棚に置いていたのを2段目の棚に移しました。一週間から10日ほどは養生するのがいいのです。といっても今回は植え替えというより鉢増しですが(^^;
植替え後、株は木漏れ日が当たる程度のところに置く。
つぎに、挿し木をします。ネペンテス.ラフレシアナ「ニベア」は貴重種であると思います。しかもマルディー産ですから、少しも無駄にはしたくないと思いました(^^;。挿し穂は葉を2,3枚着けるぐらいにして鋭利な刃で切り口を整えます。しかし、挿し穂の葉は半分ぐらいに切り落とします。蒸散により挿し穂の萎れを防ぐためです。これは普通の草花と同じですね。
発根部が崩れないようにする
挿し穂の切り口部が乾かないうちに水ゴケに挿します。水ゴケは切り口部に密着するようにかなり固めに植え込みます。そうすることで挿し穂も安定します。
挿し穂苗は腰水栽培にして、温室の3段目の棚に収納しました。ここは日光が時折当たるぐらいです。腰水はかならず水位を確認しましょう。水切れは厳禁です。夕方、明け方は加湿器のため温室内は雲霧状態です。
挿し穂6株確保しました
6〜7月は高温を安定して得られるため、熱帯植物であるネペンテスの挿し木のシーズンとしてはベストでないでしょうか。秋口に挿してもよく着くという話があるのでなんともいえませんけど・・・(^^;
挿し木後、3週間で萌芽した苗も出てきました。しかし中には枯れてしまったような挿し穂もあり、挿し木後3ヶ月ほど様子を見てみようと思います。
挿し木3週間後、隠れていた芽から発芽
ネペンテスの挿し木は難しい種類もあり、すべて上手くいくとは限りませんが当方ではこれまでalata、mirabilisの挿し木をしました。なんとか両種とも挿し木に成功しましたが(両種とも挿し木容易です)、手持ちの貴重株が増える喜びは大きいと思います。この記事が皆様の参考になればと思います。次は徒長したMixtaの挿し木に挑戦したいですね。。
2005.9.17 貴重株の増殖成功
挿し穂のビニールポットの鉢穴から根が覗いていたので、ポットを外してみると、画像のように発根していました。挿し木から約3ヶ月で十分に発根しています。元々2.5ポットに挿したので非常に根鉢が小さく、3号ビニールポットに鉢上げしました。これで新たに貴重株(ラフレシアナ「ニベア」 マルディー産)を増殖できました。ただ残念ながら、他の挿し穂はうまく根付かなかったり、枯れ上がってしまったりと、失敗に終わりました。この辺は今後の課題でしょうか。また今回は頂芽の挿し穂だけ成功したので、出来上がる袋は上位袋となります。鑑賞に堪えられる株までは2年ほどかかるでしょうか。今後の生育が楽しみです。
一方、植え替えた親株は生育が順調で、どんどん捕虫袋をつけています。
十分に発根している
既に新葉が展開している
親株植替え後、初めて捕虫袋をつける