東京八丈島・一正園訪問記

 

訪問日;2008年08月14日

(注;このページの画像は一正園の許可を得て掲載しています。このページの画像の無断使用はご遠慮下さい) 

8月13〜14日を利用して東京伊豆諸島の八丈島を訪れました。離島を訪れるのも久々ですが、何と言っても飛行機に乗るのも久々でした。10年ぶりぐらいかな??
 八丈島までは滋賀からですと、大津市内→新幹線/京都駅→品川→羽田空港→八丈島空港というルートが一般的だと思います。船で行く事も考えましたが10時間もかかるとしんどそうなので、リッチですが飛行機にしました。ちなみに行きは大島経由です。
(大島経由の場合は乗継割引が適用されるか注意が必要です)


初めての八丈島に到着


 一正園の場所は普通の地図では道路が消えており、幹線道路沿いを少し歩いて細い路地を見つけました。細い路地を進んでいくと、おおっ!「一正園」の看板発見!!木でできた看板ですが、JCPSのビデオ画像と同じです。最初に訪れたのが朝早いのでまだ誰も外に居られませんが外からでもサラセニアの栽培場が見られます。
 9時過ぎに一正園の奥様にお会いし、ネペンテス温室から見学させていただきました。温室は鉄骨ですがだいぶ古くなってきているようです。株数は500ぐらいはあるでしょうか、素焼き鉢に水ごけ植えの株が多いのですが、種類によっては火山岩とミックスされたり、火山岩単独で植え込んでいるものもありました。さすが火山島八丈島ですね。N.トランカータは花も咲き終わったあとのようで、実生から30年かけて大株化した株は見事でした。品種は主に人工交配種が多いのですがN.ラフレシアーナやメリリアーナ、クリペアタなどは立派な株で、特にメリリアーナは軽く30cmを超える袋を付けていました。実生系の株も多く、これまでの長い年月の栽培がうかがえました。

 


一正園の看板が




N.クリペアータ×トランカータ

 近年はメリクロンでの増殖株が多いですが、やはり挿し木や実生の苗の方が活着しやすいのも納得です。N.ラジャもありましたが、最近はうまく作れていないようで、株がかなり小さくなったと話されました(標本のラジャは本当に大きかった)。無冷房の経年栽培の難しい所でしょうか。
 ネペンテス温室のとなりは熱帯果樹温室になっておりその隣りは熱帯果樹とネペンテスが同じ温室内で管理されています。ただし温室内温室といった感じでネペンテスが温室内温室で管理されていました。

 


N.アンプラリア「レッド」




ネ.アンプラリアの交配種




N. ラフレシアーナ「イッセイ ブラック」




地植えされたアローカシアの間で袋を付けると雰囲気があります

 

温室内温室にある大きな発泡スチロールの箱がビニール袋で覆われており、奥様がビニールを外しますと大きなN.ノーシアナが出てきました。袋も大きく、よどんだ空気が好きなN.ノーシアナにはもってこいなのでしょうか。しかし、温室内は暑い!汗が噴き出すのと蚊が多いのとで一旦温室から出て、熱帯果樹のデザートやレモングラスのハーブティーを頂きながら、最近の一正園での話しや写真を見させていただきながら盛り上がりました。


 N.トランカータ




火山岩栽培のN.クリペアタ




ネペンテス温室内
(クリックすると拡大画像あり)



  
N.メリリアーナ
(クリックすると拡大画像あり)




N.ビーチ「バリオ」




温室内温室の内部




ネペンテス温室内


次にサラセニアプールを見学させていただき、おなじみS.艶姿やS.中之郷、飛鳥シリーズ、フラバ等が並んでいました。貴重なS.イッセイもありましたが中々殖えにくいようです。絶えてしまった品種もあったようで、幸い私のところでその品種の株が大きく株別れしてきたので、来春の植替え時に株分けしてお返ししようかと思っています。U.ギッバはもう水盤で盛り上がりそうなほど生育し花を沢山つけており、繁殖力旺盛でした。
 次にヘリアンフォラやピングィキュラなどの栽培場も見せていただき、こちらでは水槽栽培せずに普通に軒下で管理されてる感じです。ただ床下から冷たい風が吹き抜ける為あまり暑くならないようです。八丈島は海洋性気候なので夏でも35℃に達する事は無いようで、せいぜい32度ぐらいまでと、本土より涼しいぐらいです。ただ海に囲まれており、風が通っても蒸し暑いです。

 


サラセニアプールの様子




今では貴重なS.イッセイ


 一正園を訪れてから長時間が経過しましたが、奥様は近くの熱帯果樹園の「えこ・あぐりまーと」までご案内下さいまして、あしたばアイスクリームまでご馳走になりました。園内の温室にある熱帯果樹は一正園から提供した苗も多く、時々剪定にこられているようです。中にはネペンテス温室もあり、こちらは日の出花壇さんが提供されているとの事でした。
 時間は13時を回り、私も島内観光の予定がありましたので、「えこ・あぐりまーと」で挨拶してお別れしました。
 どうもありがとうございました。

 


羽田空港に戻ってきました


コメント
 一正園は昭和から続く歴史ある食虫植物ナーセリーの一つでありますが、今回の訪問でもそんな雰囲気をあちこちで感じる事ができました。真夏の暑い中、長時間に渡って温室やサラセニアプール、また地熱を利用した熱帯植物園をご案内していただき、初対面にもかかわらず、温かい対応をして下さった奥様には大変感謝しております。また貴重な写真を見せていただいたこともあって大変興味深く拝見できました。
 最近はインターネットの普及で、珍品の食虫植物のメリクロン苗が簡単に入手する事が出来るようになりましたが、特に入門者の方は立派な苗を出荷される一正園の株から栽培を始める事が成功への近道かもしれません。

 

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