兵庫県立フラワーセンター訪問記

 

訪問日;2008年01月14日

 

ちょうどこの時期に兵庫県加古川市までの泊り込み出張がありましたので、昼前に前日入りして、加西市の兵庫県立フラワーセンターを訪問しました。同フラワーセンターを訪れるのは2005年夏以来、およそ2年半ぶりとなります。対応していただいたのは、食虫植物の栽培技師のD氏です。お会いしたのは京都府立植物園以来1年半ぶりとなります。事前にメールで連絡した13時に到着し、観覧温室内を一周しました。観覧温室内の目玉でもある、地植えされたネペンテス.カーシアナはもうすぐ温室の模様替えで一度整理されるようです。
 一通り観覧温室の見学が終わると、ネペンテス温室とヘリアンフォラなど中温性の温室、戸外管理されたサラセニア栽培池などを見学しました。


ネペンテスが栽培されている


 ネペンテス温室内は冬と言う事もあり、生育はややお休みといったところでした。ネ.メリリアーナは葉も一回り小さくなっていました。毎冬こんな感じなようです。変わりにネ.ベントリコーサが好調のようです。温室内は冬は最低16℃以上に保たれているようです。温室内は保温用ビニールに覆われ、送風扇も廻っておりました。今までフラワーセンターは真夏にしか訪れていなかったので、真冬の訪問は何だか新鮮です。一方、ネ.ペルビレイは健在で、親株3株ありました。2雄株、1雌株でした。雌株には果実が出来ており、種子が採取されるのでしょうか。親株は長い徒長枝を伸ばし、幾所から堅い葉を多数芽ぶかし、各葉には特徴的な袋を多数付けておりました。それ以前にD氏はネ.ペルビレイの人工交配に世界で初めて成功させた事も有名ですが、親株の近くにネ.ペルビレイの人工交配種がありました。もちろんシブクロスで大変貴重でしょう。既に緑色と赤みがかった袋の特徴が出ており、実生繁殖ならではの技です。他にもネ.クリペアータ×メリリアーナの交配種など、フラワーセンターならではの交配種もあり、まだ小さな苗ですが、5年、10年後が楽しみです。もちろんネ.クリペアータの親株も相変わらず大きく、袋も多数つけておりました。もう一つ、見事だったのはネ.トランカータでした。袋の大きさが冬でも50cmに達し、株によってはねずみを捕らえるほど巨大化していました。さすがにD氏もねずみを捕らえているのを見て、驚いたとか。。

 


フラワーセンターといえば巨大ネペンテス.クリペアータ

 


真冬でも元気なネ.クリペアータ

 


他にも多数、立派な株が、ネ.マダガスカリエンシスなどありましたが、紹介し切れませんので、画像を参照してみて下さい。
 隣には中温を好む、ヘリアンフォラ.イオナシー、ミノールなどが並べられ、開花中の株もありました。ヘリアンフォラは株分けした直後のようで株が多数ありました。ヘリアンフォラは私は栽培経験無しですが、高湿度を好むイメージがあります。しかしフラワーセンターのヘリアンフォラは堂々(?)と温室内に放り出されて生育しており、不思議なものです。そばにはフクロユキノシタ、ピンギキュラもありました。フクロユキノシタもむき出しです。日照十分なのか大変綺麗な紫色をした袋を付けておりました。超高温を好むドロセラ.ペティオラータ類もありましたが、さすがに冬は温度が足らないようで、芽が大変小さくなっておりました。

 


枝が伸びまくり至る所から芽吹くネ.ペルビレイ

 


ネ.ペルビレイの捕虫袋

 


 戸外に出ると、D氏が薪を燃やしておられました。大きな金属製のたらいが火の上に載せられ、ぐつぐつ水ゴケを煮込んでます。聞けばこれは水ごけからの雑草発生を防ぐ為にやっておられるとの事。通りでフラワーセンターの水ごけ植えの株からほとんど雑草が生えていないのですね。これは雑草防止の他に病害虫予防でもあるようです。水ゴケは最近は粗悪なものが多く、嘆いておられました。フラワーセンターも公共の施設であり、予算が決められてますので、安いチリ産の水ゴケを使用せざるを得ないようです。
 外ではサラセニアが栽培プールでずらりと並べられています。風で倒れているものもありますが、鉢間のスペースが十分取られ、どれも元気に生育していた模様です(冬なので、生育休止なのが残念!)。霜よけスペースにはドロセラ.アデラエ、カペンシスやドロソフィルムの苗なども並べられ、戸外でも十分冬越し可能のようです。

 


今の時期、調子が良いネ.ベントリコーサ

 


真冬でも健在、ネ.アンプラリア


 写真撮影も一休みして、D氏と喫茶ルームで色々談話していました。蘭栽培もしていると話したら、なんと蘭の育成温室にも案内されました。蘭の育成温室は2棟あり、1棟がファレ系、バンダ系の高温種、もう1棟がオンシジューム、カトレアなどの中温種の栽培がなされていました。カトレアは多数シースがのぼっておりました。近くには蘭栽培担当のH氏が水やりなどをされていました。蘭以外にも貴重な植物が栽培されております。
 気づけば、3時間もD氏には植物園を案内していただいていました。次は春に来れば園内は綺麗だよ〜っとおっしゃっていましたが、結構遠方なので気軽に行けないのが難点かな??

 


50cm大!巨大なネ.トランカータ

 


ネペンテス.ラフレシアーナ上位袋

  


世界初!ネ.ペルビレイのシブクロス苗

 


水ゴケの煮沸処理(作業中)

 


牙をもつ事で有名なネ.ビカルカラータ

 


コメント
冬に訪れるのは初めてでした。広い温室のおかげで環境は安定していました。メリリアーナなど高温を必要とする低地性種にとっては少々シーズンオフでしたが、それでもアンプラリアなどは立派に袋をつけており、日照・水やりの仕方次第で真冬でも観賞価値が十分です。次は真夏に訪れて巨大なメリリアーナを鑑賞したいです!

 

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